幼児のスクリーンメディア使用、
脳への影響
使いすぎると脳の読み書き能力を司る部位の微細構造が不完全になる可能性

■幼児のスクリーンメディア使用、脳への影響
使いすぎると脳の読み書き能力を司る部位の微細構造が不完全になる可能性
米国Cincinnati Children’s Hospital Medical CenterのJohn S. Hutton氏
 
 スクリーンメディア(テレビやPC、スマートフォン、タブレットなど)の利用は乳児期に始まり、年齢上昇と共に利用機会が増えている。米国Cincinnati Children’s Hospital Medical CenterのJohn S. Hutton氏らは、3~5歳の小児47人を対象に、認知機能評価やMRI検査の結果と、親が回答したスクリーンメディアの使用実態を調べる横断研究を行い、スクリーンメディアの使用頻度が増えると、言語能力の発達を支える脳の白質路の完全性が低くなる可能性を指摘した。
 
 
 米小児科学会(AAP)は、低年齢の小児に対するスクリーンメディアの使用制限を推奨している。認知・行動面の発達への悪影響、たとえば、言葉の遅れ、実行機能の低下、睡眠不足、認知機能全般の低下や、親子関係の希薄化、といった問題が生じる可能性を危惧したからだ。
 
 著者らは、脳の発達への影響が明らかになっていないままに、低年齢の小児のスクリーンメディアの使用が増加していることから、3~5歳の未就学児の言語と読み書きの能力に関係する脳の白質路の完全性と、スクリーンメディア利用の関係を明らかにするために、横断的研究を実施した。
 
 米国の小児病院と地域の診療所で、2017年8月から2018年11月に参加者を募集した。対象は年齢が3~5歳、出生時の在胎週数36週以上、英語がネイティブな家庭で、言葉の遅れを引き起こすような神経発達疾患がなく、幼稚園入園前であり、MRI検査が禁忌ではない小児とした。小児には認知機能の評価を行い、脳の神経線維の走行状態を可視化するために、鎮静薬を使用せずにMRI拡散テンソル画像(DTI)を撮影した。スクリーンメディアの使用状況は、保護者に対するScreenQ調査で調べた。
 
 認知機能の評価に用いられたのは、Expressive Vocabulary Test Second Edition(EVT-2)、Comprehensive Test of Phonological Processing Second Edition(CTOPP-2)、Get Ready to Read!(GRTR)の3つの指標だ。これらにより、小児が言語能力を獲得する前、または獲得しつつある段階の萌芽的読み書き活動を評価する。
 
 ScreenQは、3~9歳の小児を対象にして最近開発されたスクリーンメディアの使用状況を調べる指標で15項目からなる。メディアの入手しやすさ、使用頻度、視聴するコンテンツ、双方向性や一緒に見ている状態について調べ、スコアの範囲は0~26点で、スコアが高いほどAAPの推奨を超えていることを示す。
 
 DTIの解析では、fractional anisotropy(FA)とradial diffusivity(RD)というパラメータを用いて、言語、実行機能、萌芽的読み書き能力に関係する左半球の3白質路(弓状束、下縦束、鉤状束)の微細構造と髄鞘化の状態を検討した。検証したい仮説は、スクリーンメディアの使用が増えるほど、FAの異方性が低くRDの拡散性が高く、認知機能のスコアが低くなるというものだ。
 
 研究には69人の小児に参加してもらい、うち47人はMRI検査を完了した。20人の男児と27人の女児で平均月齢は54.3カ月だった。ScreenQスコアの平均は8.6点(範囲は1~19点)だった。スクリーンメディアを使用し始めた年齢の中央値は生後18カ月(範囲は0~36カ月)で、1日当たりの使用時間の中央値は1.5時間(範囲は0~12時間)だった。28人(60%)は自身のポータブルデバイスを保有しており、19人(14%)の寝室にはテレビまたはポータブルデバイスがあった。CTOPP-2スコアの平均は9.4点(範囲は2~15点)、EVT-2スコアの平均は113.1点(88~144点)、GRTRスコアの平均は19.0点(5~25点)だった。
 
 小児の年齢を補正した分析では、ScreenQスコアは、EVT-2(F2,43=5.14;R2=0.19;P<0.01)、CTOPP-2(F2,35=6.64;R2=0.28;P<0.01)、GRTR(F2,44=17.08;R2=0.44;P<0.01)と負の相関を示した。が、この関係は、世帯収入を補正すると、有意ではなくなった。
 
 一方で、ScreenQスコア高値は、言語、実行機能、萌芽的読み書き能力に関係する白質路において、年齢と世帯収入を補正してもFA低値とRD高値に関係していた。
 これらの結果から著者らは、3~5歳の小児がAAPの推奨を超えてスクリーンメディアを使用すると、言語や萌芽的読み書き能力に関係する脳白質路の微細構造の完全性が低下することと関連があると結論している。幼児期の早い段階の脳の発達に、スクリーンメディアの利用が及ぼす影響について、さらに研究を行う必要があると述べている。
 
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