人類は不安傾向が増加するように
進化した

■人類は不安傾向が増加するように進化した

東北大学大学院生命科学研究科生態発生適応科学の佐藤大気氏、河田雅圭氏

 

 人類は進化の歴史の初期段階で、不安やうつ傾向が強まるように遺伝子を進化させたとする研究結果が発表された。

このような進化によって、外部環境の変化に敏感に反応して慎重に対処できた可能性があるという。東北大学大学院生命科学研究科生態発生適応科学の佐藤大気氏、河田雅圭氏らが、「VMAT1」という神経伝達物質に関わる遺伝子の変異を調べた結果、明らかになったもの。

 

 

 VMAT1は、脳内で情報のやりとりをしている神経伝達物質を輸送する蛋白質の1つ。VMAT1にはその遺伝子配列がわずかに変化した「変異体」があり、それによって神経伝達物質の取り込み能力が変わり、認知・情動も変化する。例えば136番目のアミノ酸がスレオニン(Thr)型の人はイソロイシン(Ile)型の人よりうつや不安の傾向が強いことが報告されている。人類は、そのときどきの環境に適した変異体を持つ個体がより多く生き残るという自然選択を受け、進化してきたと考えられる。

 

 河田氏らは、VMAT1蛋白質を培養細胞で再現する技術を用いて、ヒトとチンパンジーの共通祖先から現代人に至る5段階のVMAT1を作成。その神経伝達物質の取り込み能力を測定し、人類がどのように変化してきたかを検討した。

 

 その結果、5段階の進化のうち1~4段階では、130番目のアミノ酸が、グルタミン(Glu)からグリシン(Gly)に変わり、136番目のアミノ酸はアスパラギン(Asn)からThrに変化し、この変化とともに神経伝達物質の取り込み能力は有意に低下したことがわかった。具体的には、1段階目の130Glu/136Asnと4段階目の130Gly/136Thrを比較すると、取り込み能力は約34%低下していた。

 

 先行研究からは130Gly/136Thrという変異体が130Gly/136Ileより強い不安やうつ傾向と関連していることが報告されている。また、ネアンデルタール人やデニソア人も130Gly/136Thrであることから、人類が進化する過程で、不安やうつ傾向が強まるように進化した可能性が考えられた。

 

 ところが約10万年前に5段階目の遺伝子変異として、136番目のアミノ酸がIleに変わった130Gly/136Ileが新たに出現。その神経伝達物質の取り込み能力は、前段階で現れていた変異体(130Gly/136Thr)に比べて約43%上昇し、不安に拮抗するように変化していることがこれまでの研究から分かっている。

 

 これらの結果から研究グループは、「本研究の成果は、人類の認知や情動機能に関わる神経伝達物質の調節機構が独自の進化を遂げた可能性を示しており、現代人の精神的個性や精神・神経疾患の生物学的意義について示唆を与えると期待される」とまとめている。

 

 なお、最も新しい変異体が現れた約10万年前は、アフリカ大陸に誕生した人類の一部がアフリカを後にして、全世界へと繰り出していった時期と重なる。河田氏らは、その前後に起こった環境の変化が、人類の遺伝子の進化に選択圧となって働いた可能性を考察として述べている。

 

 

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